地と水の絆 〜9
「ムリしなくったって…いいんだぞ?」
「それは、オレのセリフだって…お前の方が重傷だろ?」
そんな2人の会話。
さっきまでの騒がしさが嘘のように
今このあたりは静まり返っている。
耳が痛くなるほどの静けさ。
2人の声しか聞こえない。
「…最初にエナジー喰らったの…何処の誰だよ?」
「ま、いいじゃねーか。一応動けるくらいまでメアリィが回復させてくれたんだから」
傷だらけの2人…
1人がそっと向きをかえてガルシアの元へと歩く。
ピカードに寄りかかる形で倒れているガルシアを仰向けに倒し、傷を見る。
「胸…だけど左じゃなかったんだな
それにしても…深すぎだろ、これ」
手を構え、身体の痛みに顔をしかめながらエナジーを唱える。
「キュア…ベスト」
当然そんなもので治るものじゃないと…ロビンだってわかっている。
ただの気休め…止血の変わりにくらいなるだろうと…
そういう願いを込めて…
ジェラルドとロビンは2人がかりで残りの6人をレムリアの船へと運ぶ。
2人とも手負いの為、作業は困難を極めていた。
他の6人は全員意識がなかったのだ。
あのピカードがおこした行動をみたのもこの2人だけ…
6人を船に運び終わり、お次は大仕事が待っている。
普段8人のエナジーを食って動かす空とぶ船を2人で動かそうというのだ。
「一番近いのは…ヤラム村だな」
「それでも結構な距離ないか…?ロビン」
少し心配そうな顔をしてそういうジェラルドにロビンは笑顔でこう言い放った。
「気合だ、気合
多分オレ達以外のメンバーのエナジーもこいつは食うだろうから…村にはつけると思うぞ?」
弱気はいっていられない、といわんばかりにロビンが舵につく。
出血のおかげで足元がふらつくが…
2人は船を動かし始めた。
全員を…助ける為に
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父…さん
ど…して…?どうしてこうなったの…?
嫌だよ、
父さんを…ボクは失いたくなんか…ッ!!!
「!?」
瞼を開くと高い天井が見える。
どこかの一室なんだと予想がつく。
その金の瞳には光が戻っている。
「こ…こは?」
ゆっくりと身体を起こす。
窓の外を見ると雨が どしゃぶりとなり降り続いている。
雨のせいで外が良く見えないが地形からするとおそらくヤラム村だろう。
「…どうして…ここにいるんだろ?」
――――――――――――ボクはレムリアにいたはずなのに…
次はあたりを見回す。
「…これ」
目に入ったのはピカードがいつも着ている青い服。
ただそれは青色ではなく…
どす黒い赤い色をしていた。
――――――――――――赤イ…血…
ベッドから立ち上がりその服がかけてあるところに赴く。
手の震えが止まらない。
…少しづつ…記憶が鮮明になってくる。
――――――――――――そう…だ
「…思い…だした」
そう小さく呟く。
自分のやってしまったことの事実を…思い出した。
みんなを傷つけた
酷い言葉を言った
そして…
自分を”仲間”だと言ってくれたガルシアを…
――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!
ピカードはその血まみれの服を身に纏い部屋から飛び出した。
――――――――――――もう、もうこれ以上は…!!
いつ何をしでかすのかわからない恐怖。
それからみんなを守りたい一心でピカードは走った。
途中…ある部屋の前で足を止める。
「…なんでこうなったんだ?」
「ロビン、怒りたいのはわかります、でも…」
バンッ、と机を叩く音がする。
それと…怒鳴り声…
「でもってなんだ!!?これで…目が覚めなかったらどうする…?」
「不安なのはみんな一緒よ!兄さんがこのままだったらどうしようって…でも…」
ジャスミンは言いかけ、そして続ける。
「何か…理由があったのよ…ピカードに
でなければ…こんなこと起こらなかったもの…」
「……」
その会話を聞いてあやふやだった記憶が繋ぎ合わさる。
ピカードはそっと扉を離れ、宿を飛び出し
雨の中を1人駆けて行った…
何時間くらいの時がたっただろうか
ピカード除いた6人はずっとガルシアに付っきりだった。
どんなに祈っても、エナジーかけても…目を覚ます気配はない。
みんな黙っていて…外の雨の音だけが鳴り響く。
「…私」
とメアリィが一言。
「ピカードの様子を見てきますわ、もう目が覚めてるでしょうから」
メアリィがそういいながら足を進めたときロビンがそれを止めようとする。
「メアリィ、1人で大丈夫か?」
扉からでようとしていたメアリィが足を止め、振り向く。
「…ロビン、ガルシアはピカードを信じていた
だから私達も信じなければ…同じ仲間ですもの、そんなに警戒しなくても大丈夫ですわ」
そういってメアリィはガルシアがいる部屋を後にした。
「…信じる?何の躊躇いもなく仲間を傷つけていった奴を!?」
「ロビンッそれはいいすぎです!!」
怒りを隠せないロビンがそう言葉を吐き、それをイワンが訂正させようとする。
「…私達に真実はみえない」
「?」
全員が、シバの方に振り向く。
「もめても仕方ないでしょう?
だって本当のところは誰も…何もわからないんだもの…」
あたりが静まり返る。
――――――――――――早く…早く…!!
ピカードは森の中を駆け回っていた。
――――――――――――遠くへ…
何かを求めるわけでもなくピカードは走り続けた。
――――――――――――…で…も、…
足を止める。
目には涙が溜まりそれが零れ落ちていく。
「…何の…解決にもならないよ」
頭にリレイクの吐いた言葉が思い浮かぶ。
――――――――――――お前は…お前自らの手で…
「!!!」
頭を抱え目の前にあった樹に正面から寄りかかる。
目を閉じ…呟く。
「…もう思い出したく…ないのに
もう…忘れさせて欲しいのに…」
閉じた瞳の奥に浮かぶは遙か昔のレムリアの姿。
…大きかった父の背、優しかった母の声…
そして…悪夢
その金の瞳には雨と涙が入り混じっていた。
しばらくしてからピカードはくるっと向きをかえ
樹を背もたれにして寄りかかった。
雨はやむ気配がない。
どしゃぶりのまま…変わらず降り続ける。
雨が降り落ちる空を見上げている時1つの声が耳元を横切った。
「この雨は…今のあなたの心そのもののようですね」
「!!」
自分の目の前に人影がみえる。
水色の長い髪に群青の青い瞳。
ピカードと同じように全身をびしょ濡れにしている。
「アレ…クス」
ピカードはそう一言呟きアレクスを睨みつけた。
=続く=
こんにちは、半年ぶりです(笑)
こんなに間があく連載ってありなのかなあ・・・おかしい気もします。
文章にできなくて大変極めてました。
頭の妄想は固まってるし最後まで決めてはあるんです・・・が・・・
私の文才が着いていかないのでなっかなか・・・。
何話までいくのでしょうか・・・20こしそうな勢いな気がしてきました、
今年中完結は不可能ですねー・・・げはげは
場面がわかりにくくてしょうがないです。
なんとか自分達の妄想で補足してやってくださいませ。
アレクスさん・・・ちょっとだけやん!ですよね。
多分次回、かその次くらいまで出たらもう出ないかもです。書きたいよーアレクス。
もうそろそろピカの罪の話が出てこられるかな。。。いい加減かきたいです・・・。
2004・08・20
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