地と水の絆 〜3
夜のレムリアを赤い月が照らす。
彼らはレムリアへ連れてこられた途端牢屋に詰め込まれた。
確かに…今のところ危害は加えられていない。
しかし…心残りが一つあった。
「…おい兵隊!!オレ達をここから出せっての!!」
「…ジェラルド無駄ですわ、彼らには何か目的があるのですよ」
暴れるジェラルドをメアリィが静かに制する。
――――――――目的…だからなのか?
牢屋の端で考え事をしているガルシアの元にジャスミンが現れる。
「兄さん…ごめんなさい 私のせいで…」
「…過ぎてしまったことを悔やんでも何にもならない」
その兄妹の会話にロビンが入り込んでくる。
「確かにな…オレ達も軽率だった、すまないガルシア」
――――――――…心残りが一つ
「7人は同じ牢屋なのになんでピカードだけ隔離されたんだろうね?」
シバが呟いた。
その疑問はそこにいた誰もが思っていた。
…引っかかる。
『ピカードだけ』
ここがレムリアだからというのは理由にならない。
みんなが…心配をする。
自分達は無事でも隔離されている彼もそうだという保証はない。
【きっと無事だ】と自己暗示をかけるしかない…
赤い月はなにもかもを知っているように全てを赤に染めていた。
コツン…コツン…
誰も知らないその場所。
レムリアを下へ下へと下り…そこに地下神殿が見えてくる。
そこにも赤い月の光が射し込んでいる。
そこに8人を捕えてきた3人のエナジストの一人が足を運ぶ。
紅く重々しい扉を開ける。
中はとても薄暗い…
入ると中にはたくさんの蝋燭が立っており
通路を進むと竜のオブジェがかかっている黒い扉が見えてくる。
「入ります、我が主」
その黒い扉も開け、中へと足を踏み入れる。
広い広間のその真ん中に…大きな玉座が見える。
神殿の主を思われる玉座に座るものが口を開く。
「フルードか」
重々しい声が部屋中に響く。
よく通る声…
「余分なネズミも狩ってきたようだな」
その言葉を受けフルードは頭を深く下げ言葉を言う。
「リレイクさま、心配無用です
あなたの欲していた”金の瞳”を持つレムリア人も捕らえる事に成功しましたので」
「ほお、やっと見つけられたのだな?…他の二人はどうした?」
「レムリア人の兵を監視しています…いつ”呪縛”が解け裏切られるかわかりませんから…」
「・・・・・」
沈黙が走る。
そしてしばらくした後フルードが『ふっ』と微笑する。
「安心して下さい…私を含めあの二人もあなたに絶対の忠誠を誓っています
裏切りなどありえません…ご安心下さい」
それを聞いてリレイクと呼ばれた神殿の主も笑みをこぼす。
ばさっ
リレイクは玉座から立った。
そして黒いマントを翻し…言葉をはく。
「明日だ、明日”儀式”を執り行う!それまでは…あの青年を逃がすなよ」
「はっ心得てます」
そして…夜はふけた。
「…なんでボクだけ違うとこにいるんだろう…」
ピカードは牢屋の中で仮眠の一つ取らずに一人で考え事をしていた。
広い牢屋に一人…マドラでの日々が蘇る。
「なにか…あるんだよね…エナジー封じられてるみたいだし」
牢屋の扉には小さな鉄格子が入っており、後は大きな壁になっていた。
その扉の前に進み出て、鉄格子の間から外の様子を眺める。
「外に出られたら…エナジーも使えるかな・・・」
金の瞳は厳しい目で外を見つめる。
―――――――――どこかで機会を掴まないと・・・
―――――――――どうにかして…この石を…
ピカードはジャスミンが落とした蒼い石をしっかり握り締めた。
そして呟く…。
「失敗は…できないんだ」
そして時だけが刻々と過ぎていった。
機会を得るには機会を待つしかない。
――――――――今欲しいものは「きっかけ」
――――――――「きっかけ」さえあれば…
コツン、コツン…
「!!?」
ピカードはその足音に耳を傾けた。
明らかにその足音は自分のいる牢屋に近づいている。
丁度自分のいる牢屋の前を通りかかろうとした時
ピカードは歩いてきた…見張りに声をかけた。
自分達を捕えに来たさっきのエナジストとは違って大した力はなさそうだ。
「兵隊さん〜」
「ん?」
その声に反応して見張りが足を止める。
「お腹空いたから…朝食持ってきてくれない?」
「…朝食?」
「そ、ここからじゃわからないけどもう朝でしょう?
ついでに捕虜を飢え死にさせたらだめでしょ?お願いしてもいいですか??」
見張りはピカードにじーーーっと見つめられる。
透き通って綺麗な金の目…
これに見つめられると何も言い訳出来なくなる。
「わかった…今持ってくる」
「vv」
そして見張りは朝食をとりにどこかへいってしまった。
当然ながらあの見張りは気がついていない。
その”朝食”がピカードにとっての”きっかけ”だと言う事に…
数十分後、さっきピカードが呼び止めた見張りが戻ってきた。
手には一つのお盆を持ち、その上にはお皿が1枚とコップが一つ。
お皿にはパンが乗せられ、コップにはスープが入っていた。
「持ってきたぞ」
そう、”持ってきたぞ”と言われてもどうにもならない。
何故ならこの牢屋は食事受けすらないのだ。
扉にあるのは小さな鉄格子…
――――――――まずはここから脱出しないといけない。
単に「お腹が空いた」で朝食を求めたと思っていた見張りは
持ってきた朝食を配給する為…その牢屋の扉を開けた。
「受け取れ」
「うん、ありがと」
ピカードは朝食を受け取る為扉の方に進み出る。
扉は開いている。
1歩出ればすでに牢屋の外だ。
今…エナジーを封じている壁は…ない。
「ほら!さっさと受け取れ!」
『水よ』
ピカードの手にエナジーの光が集まる。
「何をしている…?」
『今の一時 その姿を氷とせよ
対象なるものを 凍らせてしまえ』
「!!!!!!…まさかお前エナジス…」
『チルド!!』
見張りの足が凍り付く。
身動きが取れない。
「うわああああ!!!」
ドッ!
凍り付いた足では身体を支える事はできずその場に倒れ込む。
持ってきた朝食もそこらへんにぶちまける。
それを横目で見ながら…
ピカードは空いている扉から外にでる。
そして…走り出した。
「だ…脱獄だ!!!!!!」
足を氷漬けにされた見張りが叫ぶ。
レムリアが動き出す…
レムリアはさっきの静かな様子とは一変し、慌しく、騒がしくなっていった。
=続く=
脱獄です。ピカ天使な顔してやってくれました…(私には天使の顔にみえる
そして謎の暗黒集団…オリジのキャラはいれたくなかったんですけどね。(自分のポリシーみたいな・・・)
今回の話は相当想像力膨らませないとわからないかもしれません。
…でも描写が苦手な奴が書いたので…それも難しいかもしれませんね。
内容が薄い気がしてならないです。本当に。あっさり話が進んでますよね・・。
この話・・・ちゃんと終えられるのかなあ?(不安
2003.08.21
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