求めし者の叶わぬ夢 [前編]



…私は目覚めた。
長く深い眠りから…



最初に行く所を決めた。
最初はそこを滅ぼしてみようか?
私のこの力が…どれほどのものなのか試すために…











――――――――――――――――!!!!!!!





















「!?」











・・・・・・・














何もない。
しかし何かが過った気がする。





ここはレムリア。
”黄金の太陽”が解き放たれてから100年。
ピカードは自分の故郷レムリアにいた。




心に穴があいたままだ。
この世界にシバやジャスミン、ガルシアやロビン・・・みんないない。
彼らは…空へと昇って行ってしまった。
その場に立ち会わなかったけれどわかる。
一人、また一人と消えて行くたび
ピカードの心の穴は広がって行った。



いわゆる今のピカードは『一人』という奴だ。
ピカードが一番恐れていた孤独。
でも、それは思っていたほど苦痛ではなかった。
「みんなはいないけれどボクの心には残っている」
そう思うことで苦痛を和らいでいた。






朝…起きた。
その時にピカードの頭を何かが横切った。
かすかだが…エナジーを感じる。
そしてピカードはそのエナジーを知っていた。
















「み…ず?」














水…。
あの灯台に火を灯すあの戦いで
水を操ったのは3人。
メアリィとピカードとそして…アレクス。
メアリィはもうこの世にはいない。
しかし、アレクスも、もう死んでしまったはずだ。
彼は普通の人間。
知っているエナジーだったが…誰のものなのか予想がつかなかった。


























おじに言われて外に出た。
レムリアに気候はあまり関係がないが今日はいいお天気だ。

ピカードが朝からあまりにも陰気な顔をしていたので
ピカ―ドのおじが「散歩でもしてきなさい」と声をかけたのだった。
そして、外に出た。
ピカードは外に出るといつもある場所に行く。








そう、母親の墓。







自分たちが戦っていたときに死んでしまった母。
ピカードは母がとても好きだった。
幼くして父を失ったピカードには母しかいなかったのだ。
もう…失ってしまったが…

















「こんなものでいいかな??」
ピカードは自分の母親の墓に花を添えた。
母が好きだった白い花。
名前は知らない。ただ、いつも嬉しそうに眺めていた。



久しぶりに王様にでも会いに行こうかな、と
ピカードが思い墓を離れようとした時
それは起こった。















明るかった空は暗くなり
嵐が吹き荒れた。














―――――――――――!!!

















ピカードはレムリアの広場へと走った。
突然嫌な感じがしたからだ。
強い…感じたことのないような強いエナジーを…。








バッ!!!
「誰だ!!今ここに来たのは!?」
ピカードは叫んだ。


広場に水が吹き荒れる。
やはり水のエナジストなのだろうか?
そして水が人を形作っていった。






「!?」
















「なんで…なんでお前が?」
ピカードは驚きを隠せない。
















そう、目の前にいたのは
死んでいたと思っていたアレクス。
あの水色の髪、群青の瞳…アレクス本人に間違いない。


















「…話さなかったのですね、ガルシアは」
アレクスは静かに話す。
「え?」
二重で驚いた。
どこかでアレクスはガルシアと接触している?
あの戦いの後何度かガルシアにあったが
そんな事一言もいわなかった。




「話しましょうか?私が錬金術を手にいれてからのことを」
「!?…錬金術」
アレクスはこれまでのいきさつをピカードに話した。
錬金術を手に入れた後ワイズマンによって氷つけにされた事。
そしてそこでガルシアと接触し、今日目覚めたことを…。



雨はやまない。
いまだに嵐がレムリアをおそっている。



















「アレクス」
「なんですか?ピカード」
「今日目覚めたっていいましたよね?」
「はい」
「何故…レムリアに来た?
 自分の故郷であるイミルでなくこのレムリアに!?」


くす…
アレクスは笑った。
不敵な笑み。
「な…何がおかしいんだ!?」
「私はここを滅ぼしにきました。
 今の自分の力がどれほどのものなのか試すためにね…」
「!?な…」

ピカードは詠唱を始める。
今のアレクスをこのままにしておけないと判断したからだ。
しかし…敵わない。






「!!!」
アレクスはピカードの後ろに回り込み首に腕をかけた。
そのせいでピカードは身動きが取れなくなってしまった。
「私に歯向かおうとでも思ったんですか?
 無理ですね、今のあなたの力では私を止める事などできませんよ?」





「がっは…」
今度は首を手で掴み宙に上げた。
そしてアレクスはいった。

「まずはあなたを倒してからにしましょうか?」
「アレ…クスッ!!」

















嵐は止む所を知らない。
レムリアの住民は皆家に立てこもり
そして広場にはピカードとアレクスの二人だけが残された。








『ボクは…アレクスを止められないかもしれない・・・
 レムリアを…守れないかも知れない』



そうピカードが思ったときピカードは見た。









今、自分を持ち上げているものの表情を…
それは…とても辛そうだった。




                           =続く=


続き物です。前後編です〜。
アレクスが悪者ですね。これじゃあ…でも後編で変わります!!
描写って難しいです。絵で描く方が簡単ですよね。文才が欲しい。
…私って題名のつけ方ベタすぎて泣ける…もっとかっこいいのつけたいです(泣)
この話しは「ハイディアの地に眠りし者」「雪降る村のささやかな祈り」が少しからみます。少しですけど…。



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